ロウソクの科学
いくら「啓蟄」ですよと言われたところで、こうまで冷たい雨に降り込められてしまったのでは、せっかく這い出た虫達も再び引っ込まざるを得ません。
虫ならぬ「人間サマ」である私も、この土日は殆ど半径500m以内から外には出ないという、実に“省エネ”な生活っぷりでした。
こんな日は、ワザワザ口にするのも憚られる程当然の事ながら、自由になる全ての時間は“本と音楽とコーヒー”のためにあるのです。
淹れたての熱いコーヒーを啜り、適当なLPやCDをプレーヤーに乗せては、そこいらに積んである本を開いてはつらつらと目を通す。
こんな“至福の時”を過ごす中でちょうど読み切る事が出来た1冊は、マイケル・ファラデー著/矢島祐利訳による1956年刊行の古典『ロウソクの科学』(岩波文庫)でした。
「岩波版ほるぷ図書館文庫」という、堅牢かつオシャレなハードカバー装丁による山吹色の表紙は、手に取って新たなページを開くたびにワクワク感が募ります。
最後の1ページを捲り終えた時には、心はもうすっかりファラデー先生のクリスマス授業に参加している気分になっていました。
頭の中にある教室で、好きな時間に自分のためだけに行われる理科の講義と数々の実験・・・。やはりこの本、面白いです。