蒼風閑語

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接続の幾何学

矢野健太郎氏1968年の著作である『接続の幾何学』(森北出版)を読了しました。

本書の収められていた“数学ライブラリー”なるシリーズの中から、3年後の1971年に書かれた氏の『リーマン幾何学入門』に目を通したのは、もう4~5年程も前の事になるでしょうか。

同じ頃には“数学全書”所収の『微分幾何学』(裳華房)を見慣れない「花文字記号」に四苦八苦しながら読んでいたり、相対論の数学的解説なら同氏の本に限ると決め付けてアレコレと読み漁っていた時期だったのです。

そんな訳で久しぶりに味わった矢野氏の解説は、道具立てといい語り口といい実にシンプルかつ判り易いものでした。最初から順を追って読んで行けば、相対論に付随する形で発展した現代幾何の歴史を一望の下に俯瞰する事も可能かと。

ちなみに全体の構成は、第1章「群論と古典幾何学」、2章「リーマン幾何学と絶対微分学」、3章「レヴィ・チヴィタの平行性とユークリッド接続」、4章「接続の幾何学」、5章「ホロノミー群」という流れ。

個人的には、第3章での「レヴィ・チヴィタの平行性」についての解説があまりに面白くて、3回も読み直してしまった事を申し添えておきましょう。