蒼風閑語

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心は量子で語れるか

ここのところ何だかすっかり「読書日記」の様になっていますが、最近は文庫・新書の類いに手を伸ばす機会が多いので、1冊を読み終えるペースがグンと上がっているのです。

春彼岸に入ったばかりで「社日」の今日は、ロジャー・ペンローズ著/中村和幸訳による『心は量子で語れるか―21世紀物理の進むべき道をさぐる』(講談社ブルーバックス)を読了しました。

ペンローズ氏の著作『皇帝の新しい心』や『心の影』(共にみすず書房)を早く読みたいと思いつつも未だに手を出せていないので、そのキッカケにでもなれば良いなと思って読み始めたのですが、どうやら本書はなかなか個性的であると同時にかなり手強い一冊の様です。

全体は大きく二部に分かれ第一部が「宇宙と量子と人の心と」と題された本論となっており、これは1995年ケンブリッジで行われた連続講義を再現したものとなっています。

内容的には、先に挙げたペンローズ氏の著作を易しく噛み砕いたもの・・・とされているのですが、ちょっと他の書籍ではお目に掛かれない“真の意味で個性的”な解説が繰り広げられていました。

特に「心と科学」に関する一連のレクチャーは、本書の要諦を為すパートながらなかなか簡単に腑に落ちるものではありません。と言って、安易に“理解した気”になって一件落着とすべき問題でも無い様な気がします。

少し生命科学・脳科学・認知科学情報理論などの予備知識を蓄えてから再読すると、また違った理解の仕方が可能かも知れません。

何だかとても“奥の深い”一冊との出逢いです。

心は量子で語れるか―21世紀物理の進むべき道をさぐる (ブルーバックス)

心は量子で語れるか―21世紀物理の進むべき道をさぐる (ブルーバックス)