古典物理学を創った人々
エミリオ・セグレ著/久保亮五・矢崎裕二両氏の訳による1992年の作品、『古典物理学を創った人々~ガリレオからマクスウェルまで』(みすず書房)を読了しました。
昨年夏に復刊されてからしばらく経った折に古書店で手に取って、最初の数ページの印象から「これは読むべき一冊だ」と直感して買い求めておいたもの。
果たしてそのときに感じたインスピレーションは間違っておらず、ひとたび読み始めるとその独特の語り口にすっかり魅了され、文字通りアッという間に読み終えてしまいました。
ガリレオ、ホイヘンス、ニュートン、フラウンホーファー、キルヒホッフ、ガルヴァーニ、ヴォルタ、エルステッド、アンペール、ファラデー、マクスウェル、ローレンツ、カルノー、ケルヴィン、ジュール、ヘルムホルツ、クラウジウス、ボルツマン、ファン・デル・ワールス、ギブス・・・。
本書で取り上げられているこれら科学者達の“生活模様”や“研究っぷり”は実に生き生きとしており、個々人のキャラクターも驚くほど個性豊かでそのままTV番組のコンテンツになってしまいそうな位。
著者は巻頭の「まえがき」の中で本書について、“この書物は、私が学問上の祖先を慕う気持ちの証のようなものである。これは、ダンテの言う「あなたの先祖は誰か」ということを知りたいと欲するところから始まったものである。” と記しています。
セグレ氏はこの本を著すことで、自らの拠って立つ源である物理学の歴史を紐解き、思索のルーツを明らかにしたのかも知れません。
こうなれば同氏による『X線からクォークまで』(みすず書房)の方にも、当然目を通さない訳には行かないでしょうねぇ・・・。