ロボットとは何か
2週間程前に神保町で買い求めていた、石黒浩氏2009年の著作『ロボットとは何か ― 人の心を映す鏡』(講談社現代新書)を読了しました。
本書の要諦はこのタイトルに文字通り「縮約」されている感じで、“ロボットとは人の心を映す鏡のようなものである”ということを工学の立ち位置からあくまでも人文学的に検証した一冊・・・といった趣き。
人間型ロボットの研究においては我が国の第一人者とも言われる石黒氏の著述となれば、それだけでも興味津々といったところなのですが、実際に読んでみると期待を大きく上回る面白さでした。
ページを繰る手の休まるヒマがない程熱中しつつも、読んでいて素直に「これは上手いな~」と感じたのは、各節ごとに1箇所もしくは数箇所で箇条書きされている重要ポイントでしょうか。
読中はもちろん後で読み直す時などにこれらのポイントに目を通すと、まるでよくまとめられたノートを見返しているみたいにアタマの中がスッキリ整理されます。
《自己認識》というものを考える上でとても示唆に富んでいた本書第4章「自分のアンドロイドを作る」から、そのポイントの部分を少しばかり抜き出してみましょう。
「本当に人間は自律しているのか?」
「人間は自分でさえも表面的にしか認識していない」
「人は自分に対する行為を観察することで、自分を認識する」
「人は他人ほど自分のことを知らない」
「社会がなければ、人間は自分のことを知ることができない」
・・・こうして列挙するだけだと何だかよくある「自己啓発本」みたいですけれども、これらは石黒氏御自身にそっくりなロボットを使った実験によって考察された命題の数々。
まぁ百聞は一見に如かず、機会があれば是非御一読下さいませ。面白いですから。