蒼風閑語

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フラクタル幾何学

ちょうど昨年の今頃だったでしょうか、神保町の古書店で見つけて購入したなりそのままにしていた、ケネス・ファルコナー著/服部久美子・村井浄信共訳『フラクタル幾何学』(共立出版)を読了しました。

本文だけで400ページというなかなかの大部にも拘らず、一旦読み始めるとその“複雑かつシステマティック”な世界にすっかり魅了され、ユッタリめに組まれた版組み(行間が広くて読み易い)にも助けられてアッという間に読み終えてしまいました。

今各分野で盛んに応用されている「フラクタル」。その基礎的な部分についての網羅的な解説を試みた内容でしたが、どちらかといえば具体的な応用例よりも数学的構造の解析により多くスポットを当てた記述だと言えるかも知れません。

なので「幾何学」というタイトルが付けられてはいるのですが、実質的にはむしろ“集合論と次元解析についての発展的解説書”とでも言った方が本書の性格にピッタリとハマる様な気がしています。

尚、本文中の至る所でフラクタルの提唱者たるベンワー・マンデルブロー氏による同タイトルの著作『フラクタル幾何学』が参考図書として挙げられるのですが、こちらの日本語版は残念ながら長らく「出版社品切れ」の状態が続いている模様。

何でも写真やイラストによる図版が多数収録された楽しい本らしいので、少し古書店で探してみようかと考えているところです。

フラクタル幾何学 (新しい解析学の流れ)

フラクタル幾何学 (新しい解析学の流れ)