蒼風閑語

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量子論

先だってここで御紹介したニック・レーン著『ミトコンドリアが進化を決めた』(みすず書房)、ニールス・ボーア著『原子理論と自然記述』(みすず書房)と並行して昨年末から読み進めていた一冊を読了しました。

デイヴィッド・ボーム1951年の著作を、高林武彦・井上健・河辺六男・後藤邦夫の四氏が共訳なさった700ページを超える古典的大著、『量子論』(みすず書房)です。

巻末の「あとがき」には、“これまで三分冊で出版されていたものを今回合本、一冊としたものである”と記されていたのですが、本文は大きく6部から成っています。

構成は第1部「量子論の物理的定式化」、第2部「量子論の数学的定式化」、第3部「簡単な体系への応用・量子論の定式化の一層の拡張」、第4部「Schrodinger 方程式の近似的解法」、第5部「散乱の理論」、第6部「観測過程の量子論」というもの。

量子論の辿って来た歴史的経緯、基礎的な部分からやや高度な応用に至るまで、あくまでも「言葉」でもって「定性的」な解説を丹念に積み重ねて行く形式は、数年前に熱中して読み込んだ朝永振一郎氏の『量子力学Ⅰ・Ⅱ』(みすず書房)などと同様の味わいが感じられました。

尚、本書冒頭部の十数冊に渡る「捕足文献」のトップには、ニールス・ボーアの『原子理論と自然記述』が挙げられており、そういった点からもとても良い形で併読出来たのではないかと思っています。

原著:"Quantum Theory" by David Bohm (Dover)

量子論

量子論

 
Quantum Theory (Dover Books on Physics)

Quantum Theory (Dover Books on Physics)