蒼風閑語

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力学系と自然法則

久々にスッキリと気持ち良い青空が広がって、いかにも「啓蟄」の名に相応しい穏やかな日和となった今日、シリーズ“物理学の廻廊”から西島和彦氏の『力学系と自然法則』(産業図書)を読了しました。

基本的に「高校で習った物理と数学の知識に基づいて色々な分野の関連を考え、あまり狭い枠組にとらわれずに物理学を概観することを試みた」というコンセプトで編集・執筆されており、とてもシンプルで判りやすい解説が印象に残ります。

全体で150ページにも満たない小冊ながら、12の章に古典力学についての基礎的な知識と現代物理学から見た解釈、それに“物理的なものの見方・考え方”についての小論などがギッシリと盛り込まれており読み応えは充分。

特に第6章の「慣性系について」と第9章の「重力および電磁的な力」の解説は判り易さの点で秀逸、第8と10の二章を割いての「運動方程式の解の家族」や第11章「右手系と左手系とは区別できるか」はトピックとしての面白さも際立っていました。

内容的には高校の物理・数学+α の知識で読める範囲内に留まりながら、物理学の本質的な部分にも良質な形で触れる事の出来る“懐の深い”一冊と言えるのでは無いか・・・とそんな気がしています。