統計力学Ⅰ
竹内淳氏の『高校数学でわかるボルツマンの原理』(講談社ブルーバックス)をサブテキストにしながら読み進めていた、田崎晴明氏の近著『統計力学Ⅰ』(培風館)を読了しました。
同氏の『熱力学―現代的な視点から』(培風館)は個人的にはほとんど“座右の書”と言っても良い位の「愛読書」なので、本書にも大いに期待感を持って臨んだのですが、結果は考えていた予想を遥かに上回るものでした。
何故(なにゆえ)をもってひとつの理論が生み出されるに至り、またどんな必然性があってその理論が必要とされるのかを明らかにした上で、それらの理論の一つ一つを徹底的に「丁寧に」「丹念に」しかも「公理的に」解説して行くスタイルは、前著から変わらずに踏襲されているもの。
これまで目を通して来た類書では理解に至らず消化不良気味のまま読み下していた様なところでも、「え、そんな事だったの?」と目を開かされ「それなら判るよ!」と膝を叩いた記述が何ヶ所もありました。
本当に “難しくて面白い本を愉しんでいる” 感触をリアルに味わう事の出来る稀有な読書体験を、引き続き『統計力学Ⅱ』でもジックリユックリ心ゆくまで堪能したいと思っています。