蒼風閑語

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欧米の旅・上

当初は布団の中で愉しんでいたのですが、あまりの面白さにどこへ行くにも持ち歩いては読み進めていた、野上彌生子全集の第十六巻『欧米の旅・上』(岩波書店)を読了しました。

旅の序章に当たる「海外からの便り」では、上海→香港→シンガポール→ヂョホール→ペナン→コロンボ→アデン→紅海・ポートサイドまでの道程。

続く「エヂプト」ではカイロ→ギゼ・メンフィス・サッカラ→ルクソル→カルナク・アスワンと歩みを進めます。

そして「東地中海」でのアレクサンドリアナポリを経て、ナポリからローマへの道行きとローマで滞在中の様子を記してからアシジ→フィレンツェ→ミラノ→ヴェネツィアシチリアと続いた「イタリア」。

そして最後にロンドンの宿→ハムプトン・コート→リーヅからダラムへ→オックスフォードとケイムブリッヂ・・・と「イギリス」の旅程の端緒を記したところまでが上巻の内容でした。

昭和13年から14年に掛けてという、まさに「風雲急を告げる」不穏な時代背景の中での渡欧ながら、筆者の眼差しはあくまで闊達(かったつ)であり何よりも「素直」です。

イギリス・ドイツ・オーストリアを始めとする欧州諸国に加え、アメリカ合州国まで「一瞥」したという下巻に、今夜から早速取り掛かる予定です。

・・・それにしてもこんな面白い紀行文、ちょっと他にはありません。

欧米の旅 (上) (岩波文庫)

欧米の旅 (上) (岩波文庫)

 
欧米の旅 (中) (岩波文庫)

欧米の旅 (中) (岩波文庫)

 
欧米の旅 (下) (岩波文庫)

欧米の旅 (下) (岩波文庫)