蒼風閑語

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数学者の愛し方

昨日、築地の朝日新聞東京本社の読者ホールで開催された、“朝日賞スーパートーク”なる講演会に出席して来ました。

4月に行われた第1回の構造生物学者・豊島近氏によるレクチャーを皮切りに、都合3ヶ月間で5回に及んだ朝日賞受賞者によるリレー講演の最終回。

今回登壇なさって貴重なお話を披露して下さったのは、現代幾何の分野における先鋭的な研究で世界的にも知られている、数学者の深谷賢治氏でした。

今回は朝日新聞編集委員である尾関章氏との対談という「トーク・セッション」風の形式を採っていたのですが、どんどん先へ進んで行く深谷氏のトークを要所要所で巧みにリードして、何とか一般の聴衆にも興味を持てる範囲に話題を絞っていた尾関氏の采配ぶりに、まずは感謝しておきたいところです。

決して深谷氏の話自体が難解に過ぎていた訳ではなかったと思うのですが、如何せんあまり大きくは無いお声で早口に論を進められるので、時々立ち止まって話題を整理する必要があったことは確か。

これが数学の専門家ならざる我が身にとってはとてもありがたいナビゲートで、お陰様で本当に面白く碩学の知識の片鱗に触れる事が出来ました。講演に付けられていた「数学者の愛し方」というタイトルにも何となく納得です。

時間にすればたった2時間の講演でしたが、実に濃密なひとときを過ごす事が出来ました。