蒼風閑語

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「進化」大全

前回開催時の“バーゲンブック.jp”で買い求めていた、カール・ジンマー著/渡辺政隆訳『「進化」大全』(光文社)を読了しました。

B5判という大判サイズ2段組で500ページ近くになんなんとするボリューム。これは読み終えるのに相当時間が掛かりそうだと思いきや、行桁が少なく行間もかなりユッタリめに取られているせいか、一旦読み始めるとかなりのスピードでページが繰られて行きます。

ダーウィンのビーグル号航海によって始まった進化論そもそもの端緒から、現在も続いているという進化論と宗教との対立までを網羅した、まさに“進化論の鳥瞰図”とでもいうべき立派な内容でした。

本書の成り立ちを「訳者あとがき」から抜粋しておくと、“そもそも本書は、米国の WGBH/NOVA 科学番組制作班とクリア・ブルー・スカイプロダクションの共同製作になる「エヴォリューション・プロジェクト」の一部をなしている。このプロジェクトは、PBS(全米公共放送サービス)を通じて放映される七部構成全八時間のテレビ番組「エヴォリューション」を核とし、(中略) そして本書により、「進化」に関する理解と普及を図ることを目的とした大プロジェクトである” という事になります。

文中には美しいカラー図版も多数収録されているのですが、意外と本文との繋がりは希薄な感じもするので、やはりTV映像の視聴を前提とした作りになっているのかも知れません。

一般向けに書かれた進化論の概説書としては、質・量ともに充分なクォリティを保っていると思いますし、何より滞るところ無く読み進められる平易さが入門書として出色ではないかという気がしました。

是非映像作品の方を見てみたいと思わせる一冊です。

「進化」大全

「進化」大全