蒼風閑語

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電気の謎をさぐる

およそ1ヶ月程前に神保町の古書店で買い求めていた、本間三郎・山田作衛の両氏による共著『電気の謎をさぐる』(岩波新書)を読了しました。

200ページ程の本文を大きく2つのパートに分けて、前半の「電気力学史」的な部分が本間氏、後半の「電磁力学史」とでもいうべき部分を山田氏という形で執筆分担なさっています。

全体の構成は、まず序奏と題されたプロローグ「ことの始まり」があって、本論が第1章「電気の発見」、第2章「電磁現象の発見」、第3章「電子と原子核の発見」と続いて、間奏と名付けられた小さな総括部「電気とは何だろうか」までが本間氏による前半。

第4章「電磁波の発見」、第5章「物質の構造と電気」、第6章「電磁気力の根源へ」、第7章「力の統一と電磁気力」と語り継いで、最後の総まとめ的なフィナーレとして「電気の謎は解けたか」までが山田氏による後半。

さすがに後半のわずか100ページばかりでマクスウェル方程式から大統一理論までを語るとなると話題の選抜と圧縮にも限界があった様で、ひたすらトピックの羅列に終始している観のところもあるにはあったのですが、まぁそこはそれ。

力学とともに物理学の両輪を成しているとも言える電磁気学の歴史を、マクスウェル以前と以後でメリハリを付けて俯瞰させて貰える一冊でした。

さて本書後半の流れから引き続いて目を通すなら、巻末の参考文献にも挙げられていた原康夫氏の『トップクォーク最前線』(NHKブックス)辺りでしょうか。

しばし書架の背表紙など眺めながら考えているところです。