蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

「森」と「明暗」

昨日の土曜日はいつもの様に神保町の古書店街を歩いていました。

特にコレといった目的もなかったのですがお天気の方もことのほか良好だったので、言ってみれば“お散歩がわりのそぞろ歩き”といった風情でしょうか。

主に店頭の均一台を眺めながら馴染みのお店を順番にブラブラと。「神田古本まつり」が終わったばかりという事もあってか、どのお店も程良く品揃えが入れ替わっていて見応えがあります。

中でも最後に顔を出した一軒で、1998年に刊行された全集『野上彌生子全小説』(岩波書店)がバラ売りされていたのは嬉しい発見でした。

シリーズを構成している全15巻がもれなく店頭に並んでいたのですが、手に取って内容を検めてみれば13巻までと15巻については旧版の『野上彌生子全集 第Ⅰ期』(岩波書店)にも含まれていた作品が収録されている様子。

そして第14巻には野上氏の遺作となった『森』、およびび処女作とされている『明暗』という2作品が収められていたので、今回はこれをチョイスしておく事にしました。美しい装丁が何とも言えず読書欲を唆(そそ)ります。

とても状態の良い函入上製本をほぼ文庫本並の価格で手にする事が出来るのですから、いつもながら本当に有難い限りです。この著者とのしばらくぶりの再開に、足取りも軽く帰途についた土曜日だったのでした。

野上彌生子全小説 〈14〉 森 明暗

野上彌生子全小説 〈14〉 森 明暗