蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

マーラー

あれ、今日は何だか普段より涼しい様な・・・と思っていたら、今日の東京地方は日中の最高気温が30.6℃と、かろうじて真夏日に引っかかる程度までしか上昇しませんでした。

一方で最低気温の方は26.4℃までしか下がっておらず、しかもこの記録は午前10時に観測されたもの。日付が変わった頃には29℃もあって朝8時頃はまだ28℃を超えていたのですから、寝苦しかったのも道理です。

こんな日こそ戸外で軽く運動でもすれば良かったのでしょうが、特別に用事もなかったので日中の殆どを屋内で過ごしました。

そんな中で今日読み終えたのは、吉田秀和氏の最晩年(2011年)に編まれたアンソロジーのひとつ『マーラー』(河出文庫)でした。

ただでさえ面白い吉田氏の文章の中から珠玉の十数篇だけを選りすぐっているのですから、結果的に“総体として面白いもの”にならない訳も無いのですが、それにしてもスムーズな読感。ここは編集者の力量を評価しておくべきところかも知れません。

巻末の「解説」で音楽文化論が御専門の小沼純一氏が引用なさっているのを孫引きするまでもなく、本書で最も印象深いのは2番めに収録されている長文「マーラー」の第1節でしょう。

マーラーはむずかしい、私には。”で始まるこの件(くだり)、ここを読むためだけに本書を購入してもさほど後悔する事はないのでは・・・と思えるほど吉田氏のテイストが濃厚に現れている部分です。

吉田氏の熱心なファンはもちろんのこと、同氏の文章にこれまで接した事のなかったマーラー・ファンやさらに広範なクラシック音楽愛好家の方々まで、幅広く目を通して頂きたい一冊だと思います。

マーラー (河出文庫)

マーラー (河出文庫)