蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

フルトヴェングラー

今日の東京地方。日中の最高気温は33.0℃とかなり暑くはあったのですが、湿度の方が40~50%台と低めだったせいか比較的過ごし易く感じられた日中でした。

気温は高くても空気がカラリとさえしていればこんなにも凌(しの)ぎ易くなるのだという「お手本」にさえなりそうな一日だった様な気がします。

さて、そんな今日無事に読み終えたのは、これも吉田秀和氏最晩年に編まれたアンソロジーである『フルトヴェングラー』(河出文庫)。

先に読み終えた『マーラー』(河出文庫)と同時に買い求めていたので引き続いて読み始めたのですが、当然の事ながらこちらも無類の面白さでアッという間に読み終えてしまいました。

これは言っても詮無い事ではあるのですけれども、イマドキのどの音楽評論家によるフルトヴェングラー評とも大きく一線を画していると思われるのが、“吉田氏はフルトヴェングラーの実演を実際に現地で体験している”という点にある事は明らか。

もちろん実演を観ていようといまいと、評論は評論としてそれ自体で評価されなければいけませんが、これが同氏の文章に大きな説得力をもたらしている事にはどうやら異論の余地が無さそうです。

本書の内容についてはここでああだこうだと申し述べるよりも、是非とも実際に手に取って頂きたいのですが、最後に収録されていた丸山真男氏との対談「芸術と政治―クルト・リース『フルトヴェングラー』をめぐって」が秀逸な面白さだった事を申し添えておきましょう。

フルトヴェングラー (河出文庫)

フルトヴェングラー (河出文庫)