蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

世界環境フォーラム2012

昨日15日、虎ノ門ホテルオークラ東京で開催された「朝日世界環境フォーラム2012」の第1日目、「全体会議」に参加してきました。

このフォーラムに顔を出すのは2009年以来3年ぶりの事だったのですが、半日を費やすに値するとても興味深い講演の数々でした。

まずはオープニング・セレモニー代わりに、朝日新聞社代表取締役社長の木村伊量(きむら・ただかず)氏による開会の挨拶と野田佳彦首相からの簡単なスピーチ。

引き続いてメイン・プログラムの一つである基調講演。スピーカーは米プリンストン大学教授・元米国務省政策企画局長のアン=マリー・スローター女史、韓国ソウル市長の朴元淳(パク・ウォンスン)氏、フィンランド前大統領のタルヤ・ハロネン女史、経済同友会副代表幹事・帝人取締役会長の長島徹(ながしま・とおる)氏という4人。

特に講演のトップを切ったアン=マリー・スローター女史は、昨年までオバマ政権下で在職だったというだけあってさすがに講演上手。とにかくお話が簡潔で力強く淀みが無いうえ、コトバの発声がものすごく明瞭で何とも魅力的でした。

そして短い休憩のあと、この4名にコーディネーターの朝日新聞社論説主幹の吉田文彦(よしだ・ふみひこ)氏、そしてコメンテーターとして同志社大学大学院教授・エコノミストの浜矩子(はま・のりこ)女史、翻訳家・政治経済評論家の徳川家広(とくがわ・いえひろ)氏、中国共産党中央党校国際戦略研究所教授の馬小軍(マー・シャオジュン)氏の3名を加えてのシンポジウム。

こちらでは浜女史の理路整然として要諦を突いたコメントと、馬氏の奥深く重みがあるのに時としてドキッとする程鋭さを感じさせる発言に、すっかり感心したり思わず舌を巻いたり。

熱を帯びたシンポジウムの後はコーヒー・ブレイクを挟んで、京都産業大学教授・名古屋大学特別教授の益川敏英(ますかわ・としひで)氏と朝日新聞社編集委員の尾関章(おぜき・あきら)氏のお二人による対談「エコばなし スローライフノーベル賞」。

一転して和やかな雰囲気が漂う中、敢えてユックリ・ノンビリをテーマにした対談は、まるでコンサートの最後に置かれた小粋なアンコール・ピースの様でした。

総じての印象は、IPCCの影が全くと言って良い程に払拭されて気候変動に関する講演が一切無くなっていたのと裏腹に、原子力とその代替エネルギーにまつわる話題が数多く見られたのが、今の時代を反映していたのかな・・・といったところでしょうか。

北極氷床の縮小もオゾンホールの拡大も、決して“終わっている”訳では無いのですけれども。