蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

職人工房

前々回の当欄でコトの経緯をお伝えしておきましたが、昨日その革靴を近所にある靴・カバンの修理屋さんへ持って行きました。

これまでにも何度かカバンの修理をお願いしているので、「今回は靴なんですよ」と持ちかけると「ああこりゃひどいねぇ」とすぐさま現状の解説と修理の段取りを話して下さいました。

この靴は本来こういった造りなのだけれどもここの所が今こうなってしまっているからこれこれこういう修理が必要です、といったお話。まるで腕利きのお医者様とのインフォームド・コンセントみたいです。

何でも「セメント製法」というアッパーとソールを接着剤だけで貼り合わせる手法で作られている靴は、他の製法で作られたものに比べると格段にこの手のトラブルが多いのだとか。

じゃあ修理は再び接着剤でくっつけるだけなのかな・・・と思いきや、「いえ、ちゃんと釘を打って糸で縫い付けて今よりシッカリした靴にして差し上げます」という力強いお言葉。

更には「このソールに使われている素材は摩擦と荷重を好むので、シューボックスに仕舞い込まないで日常的に履いてやって下さいね」と、実に有益なアドヴァイスまで頂きました。

考えてみれば・・・というか改めて考えるまでもなく、新しい靴を買う時にそんな説明をして貰った経験はこれまでに一度もありません。

近所に信頼に値する職人さんがいて下さるシアワセを噛み締めつつお店を後にした次第。1週間後の仕上がりが今から楽しみです。