蒼風閑語

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数学 7日間の旅

先月の“神田古本まつり”で買い求めていた、志賀浩二氏1990年の著作『数学 7日間の旅』(紀伊國屋書店)を読了しました。

志賀氏の一般向け数学テキストを読んだのは、もう10年近く前に氏の代表作のひとつである「数学30講シリーズ」(朝倉書店)全10巻を読み上げて以来のこと。

そんな訳で、何となく昔お世話になった恩師に再開する様な気分でページを開いたのですけれども、内容的には “コンパクトにまとめられた、「30講シリーズ」へ向けてのイントロダクション” と言っても良さそうなものでした。

タイトルからも察せられる通り全体は大きく7つのパートに分かれており、内訳は1日目「見る―幾何」、2日目「歩く―数」、3日目「近づく―微分」、4日目「測る―積分」、5日目「聞く―三角関数をめぐって」、6日目「求める―方程式」、7日目「仰ぐ―数学史の流れ」というもの。

それぞれの章(日)の構成は全て、午前の講義→休憩のコラム→午後の講義→生徒との対話・・・という形式になっており、これもほぼ「30講シリーズ」と同様のパターンです。

また、判り易くはあっても重要な部分については決して手を抜かないところも同シリーズのポリシーを踏襲しているので、コンパクトになったぶん却ってエッセンスの凝縮度は上がっているかも知れません。

通常のB6判サイズで250ページばかりの小著ではありますが、面白さも読み応えも共に充分な一冊ではないかと思います。

何だか「30講シリーズ」をまた読み返してみたい気がして、書架に並んだ背表紙を眺めている師走の夜です。