数学とは何か
マイケル・F・アティヤ著/志賀浩二氏の訳による2010年の著作『数学とは何か』(朝倉書店)を読了しました。
全体は大きく3つのパートに分かれており、第1部が「数学と科学」、第2部が「数学と社会」、そして第3部が「数学と数学者」という流れになっています。
表紙に記載されている英語のサブ・タイトルが "Selected Essays of Michael Atiyah" となっており、扉ウラには "edited and translated by Koji Shiga" とありますから、志賀氏が編集と翻訳を手掛けたエッセイ選集といったところになるのでしょうか。
フィールズ賞を受賞なさっている数学者によるエッセイ集でありながら文中に数式が一切出て来ないのも特徴的で、数学をある種の「思想」としてとらえ、敢えて徹底的にコトバによって説明する事を試みた一冊と言えそうです。
分量的に全体のおよそ半分近くを占めている第3部だけがやや数学的と言えそうな内容を含んでいましたが、ここも中間部にアティヤ氏への興味深いインタヴューが挟まれており、上手くクッション代わりを務めるインターミッションとなっていました。
読中読後の印象としては、とにかく思わず引用したくなる様な含蓄あるコトバが満載で、膝を打ったり深く頷いたりする記述が目白押し・・・というのが一番。
一般的でシンプルな言葉だけを使って数学の本質的な部分をググッと掘り起こして下さるので、必然的に余計な注釈を必要としない“誰が読んでも判り易く心に迫る文章”になるのでしょう。
広義の「科学的なものの見方・考え方」を難解な術語抜きで語った稀にみる良書だと思いますので、もし宜しければ御一読を。
- 作者: マイケル・F.アティヤ,志賀浩二
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 2010/11/25
- メディア: 単行本
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