蒼風閑語

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ALMA電波望遠鏡

石黒正人氏2009年の著作『ALMA電波望遠鏡』(ちくまプリマー新書)を読了しました。

全体は大きく4つの章から構成されており、その内訳は序章「アンデスの巨大電波望遠鏡ALMA」、第一章「電波で宇宙を見る」、第二章「日本の天文学の歩み」、第三章「ALMAで何が見えるか」、そして第四章「電波望遠鏡のしくみ」という流れ。

序章ではまずALMAという名前の由来から。このプロジェクトの概要を語るに当たっての簡単なイントロダクションといったところ。

続いて電波望遠鏡という観測機器の本質を知るためにまず「電波とは何か」という疑問に答えるところから説き起こし、最後はドップラーレーダーの仕組みまでを解説するのが第一章。

さらにALMA開発に至るまでの日本における歴史的なバックボーンをつぶさに語ったのが第二章。この計画の背景的な部分におけるエピソードが詳(つまび)らかにされます。

そして実際にALMAで「できること」、若しくは「やろうとしていること」、更には「将来的な展望」までが具体的な形で示されるのが第三章。

そして最後に、関連するテクノロジーについてのちょっと専門的な解説が第四章に。本文中に頻出する「干渉計」の概念図がここにあるので、もしかしたら最初にこの章に目を通しておいた方が良いのかも知れません。

図版と画像の美しさに目を見張りながら読み進む内にいつの間にかこの巨大プロジェクトの概要を知る事が出来る、とても優れた手引書でありガイドブックではないかと思います。

ALMA電波望遠鏡 (ちくまプリマー新書)

ALMA電波望遠鏡 (ちくまプリマー新書)