日本語と英語
作家の片岡義男氏が昨年の10月に上梓なさっていた、『日本語と英語 ― その違いを楽しむ』(NHK出版新書)を読了しました。
片岡氏が長年書き溜めて来たという「日本語と英語の表現にまつわるインデックスカード」を元にして構成されたショート・コラム集でした。
全体は大きく3つのパートに分かれており、内訳は[1]「動詞はどこへ行くのか」、[2]「I の真実、you の真実」、[3]「英語らしさ、日本語らしさ」という流れ。
そして各章の中には、それぞれのテーマに沿ったカードにまつわる83篇の小さなコラムが収められています。
各篇のサイズは長いものでも2000字程度、短いものはわずか200字程しか無いので、いっそ「掌篇集」と呼んでも良いくらいのコンパクトさでした。
しかしながらそこに書かれている内容は、言われてみれば「そうそう、そうなんだよ」と思わず膝を打ったり「へえ、そうなんだ」と感心したりしてしまう "鋭い" トピックばかり。
序章代わりに置かれている「一枚のインデックス・カードに値する」の中で著者が書き記している、「英語らしさについて書くことは、日本語らしさについて書くことでもある」という文言は、正に "言い得て妙" の趣きとも言えそうです。
"Jams are where fruits go to achieve immortality." という一文を片岡氏は、「果実はジャムとなって永遠に到達する」と・・・実は本書の中で一番気に入っているフレーズです。