蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

風俗画報

昨日は暑いなりに寄り道がしたくなって夕方少しだけ神保町に。

顔馴染みのお店で店員さんとお天気の話などしながら均一台に並んだ商品を眺めていると、何だか面白そうなものを見付けました。

ホチキスの様なもので3点留めされた、厚さ30ページばかりのB5判の小冊子が数十冊束ねて置いてあったのです。

どれどれと手にとってみれば、錦絵風に彩色が施された表紙の絵柄に何とも言えぬ趣きがあります。タイトルは『風俗画報』(国書刊行会)・・・どうやら明治期に刊行されていた月刊誌の復刻版の様。

何冊か選んでページを繰ってみると、中程には綴じ込みの大判挿絵も何点か。いずれも古色蒼然たる味わい深い図柄で何ともイイ感じ。

均一台の片隅に二山積まれていた内のひとつから、表紙の意匠が気に入った「明治26年9月10日号」を持ち帰ってみる事にしました。

冒頭にやや固めの論説文が1本掲載されている以外は、タイトルに偽りなく当時の風俗を絵入りで書き記した有象無象の文士による雑文ばかりなのですが、興味本位に徹した筆致は現代の週刊誌やスポーツ紙等と何ら変わるところがありません。

明治の人達はこういうものを読んで息抜きをしていたのだなぁ・・・と、しばし古人の生活ぶりに思いを馳せたひとときだったのでした。

ちなみに当時の版元は日本橋の東陽堂、価格は一冊10銭也です。