蒼風閑語

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わが家の仏教

宮田正勝監修/後藤典生編集による2006年の著作『保存版 わが家の仏教:臨済宗』(四季社)を読了しました。

実は先だって帰省した折に、実家が檀家をしているお寺の住職さんとお話をする機会があって、やっぱりお墓のあるお寺とその宗派についての知識が「ゼロ」というのはマズいんじゃないか・・・と思って急遽手に取ってみたのが本書だったのです。

何しろ「宗教」と名のつくモノ全般に対してとんと疎いもので、初心者向けに書かれた判り易いものがあれば・・・と足を向けた行きつけの古書店に並んでいたのがこの本。読んでみれば、私の様なシロウトにもなるべく簡明に宗派の概略を知らしめるべく工夫を凝らして執筆された良質な手引書でした。

全体は大きく8つの章から成っており、内訳は第1章「臨済宗とはどんなもの?」、第2章「臨済宗はこうしてできた」、第3章「臨済宗壇信徒のおつとめ」、第4章「臨済宗の仏事」、第5章「臨済宗のしきたりと年中行事」、第6章「臨済宗の十四派と黄檗(おうばく)宗」、第7章「臨済宗黄檗宗の名刹(めいさつ)めぐり」、第8章「臨済宗なんでもQ&A」という流れ。

臨済宗曹洞宗黄檗宗とともに「日本禅三宗」と称される「禅宗」ですから、第1章の冒頭もまず「禅宗」とは?いやそもそも「禅」とは?という疑問に対する簡単な説明と歴史的な解説から始まるのですね。

そうそう。新しいことを学んでいる時は往々にしてそういうものですけれども、本書を読んでいる間もとにかく「知っている名前」を見つけると単純に嬉しかった。

達磨大師はもちろん、沢庵和尚、一休禅師、北政所(高台院)・・・とメジャー級の有名人が出て来れば親しみも一気に増すというもので、中でも極めつけは円覚寺派東慶寺西田幾多郎鈴木大拙岩波茂雄小林秀雄高見順らの墓所を擁すると聞けばそれだけで訪ねてみたくなります。

また目次からもおわかりの通り、おつとめの基本や仏事のイロハ、主だったしきたりや年中行事といった実際的な情報もキチンと書かれており、実用書としての体裁が整えられているのも親切なところかと。

「全然判らないんだけど」という地点から始める入門書を探す際、簡潔ながらシッカリと要諦を押さえた良書として選択肢の筆頭に挙げられるべき一冊ではないかと思います。

【バーゲンブック】 わが家の仏教臨済宗 保存版

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