蒼風閑語

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南極で宇宙をみつけた!

早いもので葉月も今日明日の2日間を残すのみ。

そんな晦日前の夜に読み終えたのは、朝日新聞記者の中山由美さんが2010年に上梓なさった『南極で宇宙をみつけた!― 生命(いのち)の起源を探す旅』(草思社)です。

前々回の当欄でお知らせした「南極講演会」の会場ロビーで販売されていたのを、これは良い機会だと思ってシッカリ買い求めておいたのです。

当日帰宅する電車の中で早速読み始め、アトは時間を見付けてはあちこちでページを捲って凡そ5日ばかりで最後まで読み上げてしまいました。

中山さんの書籍に目を通すのは2005年の共著『南極ってどんなところ?』(朝日選書)以来の事だったのですが、本書では彼女独特の柔らかい筆致が隅々まで行き届き、一般向けのルポルタージュとしてとても良質な仕上がりになっていました。

やはり現役の新聞記者だけあってコトバの選び方や論旨の組み立て方、直接話法による会話文の用い方などがこなれており、それが独自の読み易さに繋がっている様です。

本書は第45次越冬隊に続き第51次観測隊の隕石調査に同行した折に、日々の体験を綴っては発信していた「ホワイトメール」なる報告文が元になっています。

従って読味は後から時間を掛けてガッチリ再構成されたルポというよりも、それこそ新聞の連載コラムやブログの記事などを読み返している感じで、もしかするとそれも文章にある種の「軽快さ」を与える一因になっているのかも知れません。

ともあれ、極地の自然はやはり独特で知れば知る程興味深いもの。何気なく手に取ったとしても間違いなく愉しめるであろう、お薦めの一冊です。

南極で宇宙をみつけた! 生命の起源を探す旅

南極で宇宙をみつけた! 生命の起源を探す旅