「おざなり」と「なおざり」
久々にネット上で誤用している例を見掛けたので、この機会に調べ直してみました。
以前日本語を題材にしたTV番組などで採り上げられた事がありますし、もしかしたら今でもその手の番組では「定番ネタ」かも知れないのですが・・・。
【おざなり】 御座なり
その場限りのまにあわせ。いいかげん。
【なおざり】 等閑
(言動に心がこもっていないで)することが万事不十分な様子。
せっかくなので他の辞書もあたってみましょう。
【おざなり】 御座なり
その場だけのまにあわせ。いいかげん。
【なおざり】 等閑
(物事に)注意を払わないこと。また、いいかげんにしてほうっておくこと。おろそか。等閑(とうかん)。
[『国語大辞典 第二版』(学習研究社)より抜粋]
じゃあ古語辞典では?・・・と思って見てみるとこんな風です。
【ざ-なり】 座形
その場の都合にうまく合わせること。まにあわせ。おざなり。「ざしきなり」とも。
【なほざり】 猶ざり・等閑
①格別意にも留めないさま。なんでもない。②本気でなく、おろそかだ。いいかげんだ。③むきになったりせず、平常のままだ。あっさりしている。④病気の重さがそれほどでもない。
[『古語大辞典』(小学館)より抜粋]
尚「なほざり」の「語誌」欄には、“近代語ではさらに転じて、軽視する、ゆるがせにするの意を持つが、これは、原義が忘れられた結果と思われる” ともあり、古語における本義は①であるとしていました。
ちなみにネット上の「コトバンク」には “「おざなり」は「御座成り」と書くように、当座の間に合わせの意味であり、自分で意識的にいいかげんな言動をしてその場を逃れようとすること。一方「なおざり」は、注意深くないことであり、自分では意識せずにおろそかな結果になってしまう言動にも用いる” と。ザックリとニュアンスを伝える上手い説明かも知れませんね。