蒼風閑語

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蔵書の苦しみ

岡崎武志氏の近著『蔵書の苦しみ』(光文社新書)を読了しました。

「公称2万冊」もの本を所蔵している岡崎氏が語った、“多過ぎる蔵書” にまつわる悲喜こもごも。

とにかく登場する愛書家の本への執着ぶり・・・というか並々ならぬ愛情の深さは、大いに感心もしますが呆れてしまうところも多々あり読んでいて興味が尽きません。

その徹底した愛書っぷりについては本書を実際に御一読頂く事として、今日は本文各章末に記載の「教訓」を抜書してみたいと思います。ある程度以上の蔵書家には有用な言葉ばかりではないかと。

 【教訓 その一】 本は想像以上に重い。二階に置き過ぎると床をぶち抜くことがあるのでご用心。

 【教訓 その二】 自分のその時点での鮮度を失った本は、一度手放すべし。

 【教訓 その三】 古本屋さんに出張買い取りをお願いする時は、どんな本が、どれだけの量あるかを、はっきり告げるべし。

 【教訓 その四】 本棚は書斎を堕落させる。必要な本がすぐ手の届くところにあるのが理想。

 【教訓 その五】 ダンボールに溜めておくと、本は死蔵する。背表紙は可視化させておくべし。

 【教訓 その六】 本棚は地震に弱い。地震が起きたら、蔵書は凶器と化すことを心得ておくべし。

 【教訓 その七】 蔵書はよく燃える。火災にはよくよく注意すべし。

 【教訓 その八】 本は家に負担をかける。新築の際は、蔵書の重さを概算しておくこと。

 【教訓 その九】 トランクルームを借りたからといって安心するべからず。やがていっぱいになることを心得ておくべし。

 【教訓 その十】 三度、四度と読み返せる本を一冊でも多く持っている人が真の読書家。

 【教訓 その十一】 実生活とコレクターシップを両立させるためには規則正しい生活をすべし。家族の理解も得られる。

 【教訓 その十二】 紙の本を愛する人間は電子書籍に向かない。よって蔵書の苦しみは解決しない。

 【教訓 その十三】 地味な純文学作家の作品は、売ってしまっても図書館で再び出会える可能性が高い。閉架扱いを要チェック。

 【教訓 その十四】 蔵書を一気に処分するには、自宅での「一人古本市」がお勧め。うまく売るためのポイントは値段のつけ方にあり。

蔵書の苦しみ (光文社新書)

蔵書の苦しみ (光文社新書)