蒼風閑語

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曲面の幾何

先だって読み終えた『幾何入門』に引き続いて読み進めていた、砂田利一氏の『曲面の幾何』(岩波書店)を読了しました。

前書が主に“平面的な空間”を扱っていたのに対し、本書で語られるテーマは“曲がった空間”や“穴の空いた立体”がメインとあって、さすがに取り上げられる話題の抽象度は飛躍的にアップしています。

全体を大きく「曲面の微分幾何」「位相空間」「多様体」という3つのパートに分けた上で、本書における“主役の二人”とも言えるガウスとリーマンの作り上げた功績を、可能な限りシンプルな記述で解説して行くというスタイル。

従って読んでいてググッと盛り上がる“ヤマ場”は、第1章7節の「ガウスの定理」と第3章の2節に置かれた「リーマン多様体」の二箇所で、これはどちらを取っても大変に読み応えのあるパートになっていました。

また、『幾何入門』から続けて読む事によって数学史の大きな流れの中で幾何学が果たしてきた役割を俯瞰する事にもなり、この2冊に取り掛かっている間は何だか長大な叙事詩か大河小説でも読んでいる様な気がしていました。

・・・ウン。やっぱり幾何学、面白いです。

曲面の幾何 (現代数学への入門)

曲面の幾何 (現代数学への入門)