蒼風閑語

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行列の摂動

伊藤清三氏の『ルベーグ積分入門』(裳華房)に続いて、黒田成俊氏の『関数解析』(共立出版)と併読する形で読み進めていた、加藤敏夫著/丸山徹訳による『行列の摂動』(シュプリンガー・フェアラーク東京)を読了しました。

いわゆる「摂動論」を扱った物理学のテキストでは、必ずと言って良い程参考図書の一冊に挙げられている大部 "Perturbation Theory for Linear Operators" から最初の二章を抜粋して改訂を施したもので、内容の懇切さと判り易さには定評のあるところ。

いつかは読みたいなと思って半年ほど前に古書店で買い求めておいたのですが、せっかく黒田氏の著作を読んでいるのだからと、途中から併読を始めていたのでした。

僅か200ページ程のコンパクトな体裁の中に、「線型変換の固有値問題」についてのエッセンスが巧みに凝縮されたしかも過不足の無い形で記されており、文字通り“碩学による周到な著述”によって彩られた名著と言えそうです。

加藤氏のもうひとつの代表作とも言える『位相解析』(共立出版)を読んでいる時にも感じていた事なのですが、どうやら氏の語り口は私の“理工書を読む時のツボ”みたいなものにピッタリとハマる様で、本書も何だか凄く「フィット感」を感じながら読み進める事が出来ました。

少し『位相解析』の方も読み返してみましょうかねぇ・・・。

行列の摂動 (シュプリンガー数学クラシックス)

行列の摂動 (シュプリンガー数学クラシックス)

 
復刊 位相解析―理論と応用への入門

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