蒼風閑語

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英語長文読解教室

最近の英語学習に専ら使用していた、伊藤和夫氏1983年の著作『英語長文読解教室』(研究社)を読了しました。

伊藤氏といえばかれこれ10年程も前、英語の学習を始めるにあたって最初に選んだテキストの一つが、氏の有名なベスト&ロングセラー『ビジュアル英文解釈』(駿台文庫)だったのでした。

この本で学び直したお陰で、学校英語によってシッカリ刷り込まれていた“英語とは後ろから前に戻りながら読むケッタイな言語である”という誤った認識が、綺麗サッパリと払拭されたのを想い出します。

さて本書ですが、有名大学の入試問題として出題されたものを中心にやや論説的な内容の長文が選ばれており、それぞれに解釈のよすがとなる「ヒント」と「研究」が与えられ、各章末には少し掘り下げた内容も含んだ「構文研究」・・・というのが基本的なスタイルでした。

この本論部分だけでも充分に面白くまた為にもなるのですが、むしろ本書の白眉は巻末に添えられた小文「私の訳出法」にあるのではないかと思います。

僅か30ページにも満たない小論ですが、ここには著者の英文解釈もしくは翻訳に対する基本的な考え方がコンパクトかつ明快に述べられており、また本論とリンクさせての総括にも役立ついくつかの「方法」が用意されています。

この「方法」を本論を参照しながら読み込んで行くと、ただテーマごとに並べられた英文解釈のテキストだと思っていたものが、かなり体系だった訳出イディオムの文例集になっている事に気付かされます。

本文に書かれている通り英文はアタマから順に解釈していくのがセオリーですが、本書はどうやら後ろから前に戻ってみると改めて本領を発揮する書き方が為されている模様。

付箋を貼ったり色分けしたり索引から項目をまとめ直してみたり・・・アレコレとひねくり回してみる価値のある一冊を、再び伊藤氏から贈られてしまったみたいです。

英語長文読解教室

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