蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

祈りの海

ここ数日あぁ涼しい涼しい・・・と喜び騒いでいたら、「処暑」だというのに明日からまた少しばかり残暑がぶり返して来る様です。

とは言っても予想されているのは日中で真夏日程度、何よりウレシイのは最低気温が軒並み25℃以下に収まっている事でしょうか。

日中の暑さがそこそこ厳しくても、陽が落ちればそれなりに涼しくなって夜スンナリと眠りに落ちる事さえ出来れば、体調を維持するのは比較的容易ですものね。

・・・という訳で、今日は時間のある時につらつらと読み進めていた、グレッグ・イーガン著/山岸真氏の編・訳による『祈りの海』(ハヤカワ文庫)を読了しました。

本書を最初に購入したのは実を言えば2008年の事だったのですが、その後およそ半分程を読み終えたところでウッカリ紛失してしまい、中断していたのです。

自分の不注意による過失だったのでまぁ仕方ないや・・・という事でそのままにしていたのですが、しばらく前に古書店の店頭で見つけてこれも縁かなと再購入。今度は無事最後まで読み切る事が出来ました。

最初の一冊を失くす前に6番目に収められた「誘拐」まで読んでいたので、今回は続く「放浪者の軌道」から。ここでいきなり登場する素材がカオス理論でお馴染みのストレンジ・アトラクタなのですからステキ過ぎます。

後はひたすら物理学・生物学・数学などに寄り添ったあまりに面白い世界観にドップリ浸って、今度こそ本当にものの数日で読み終えてしまいました。

本書の裏扉には原書名として "Oceanic and Other Stories" と記されているのですが、「編・訳者あとがき」によるとどうやら日本独自のオリジナル編集の様です。

でもこれはやはり折を見て原著に当たってみたい気がします。今自分が翻訳を読んでいるのだという事実すらスッカリ忘れてしまう程の“見事な訳業”でしたから。

祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)

祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)