蒼風閑語

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恋人たち

フィリップ・ホセ・ファーマー著/伊藤典夫氏の訳による1966年の作品『恋人たち』(ハヤカワSFシリーズ)を読了しました。

数年前に顔馴染みの古書店に同シリーズが大量入荷した折、偶然見つけて買い求めておいたものです。

しばらく「積んどく」状態のまま放り出していたのですが、先日ふと手に取って読み始めてみるとまぁその面白いこと。

最初の数章こそ文中に細かい字で挿入される注釈に辟易させられるのですが、そこを乗り越えれば後は読み進むほどに面白くなって、最後は息をもつかせぬ劇的な展開にページを繰る手が止まらなくなりました。

ある宗教の下で厳格な階級制によってに管理されている未来社会、ふとしたきっかけで地球人による入植が進む遠い異惑星に住むことになった主人公が、現地で出逢った女性と愛し合う様になり・・・。

イヤイヤ、私などがここで下手な要約をするよりも、コレはもう実際に手に取って読んで頂くのが一番だろう・・・と言いたいところなのですが、残念ながら本書はもうずいぶんと昔に出版社品切れ中となっている様なのです。

ですので、もし興味を持たれた方がいらっしゃったなら、是非近くの古書店か図書館等で探してみて下さいませ。

先に書いた通り後になればなる程加速度的に面白くなって行く構成なのですが、特に第17章から最後の第20章にかけての展開は圧倒的にドラマティック。この件(くだり)で不覚にも涙が滲んでしまった事を申し添えておきましょう。