蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

岩波文庫 青910-1

窓を開けると肺の中に冷気が「ズン」と入って来る感じのキリキリした天気の日曜、空気の入れ換えもそこそこにラジオと新聞と淹れたて熱々のコーヒーで午前中を過ごします。

今日の朝刊は読書欄に加えて、オピニオン面の連載企画「耕論」で音楽評論家の渋谷陽一氏が作家の高橋源一郎氏と対談していたり、文化面には山口瞳氏を紹介する特集記事があったり他にも読みどころ満載で、読み終えると一仕事終えた様な気分に。

午後は久しぶりに丸の内の大型書店を訪ねて、年明けから実施しているという洋書バーゲンと文庫古書のフェアを覗いてみました。どちらも絶版書を中心とした品揃えとあってこちらも見どころが満載。

まずは文庫の方からあれこれと物色しては目を愉しませていると、岩波文庫の赤帯や青帯がギッシリ並べられている一角の中に珍しい一冊を見つけました。1978年に出版されたジャン・ペラン著/玉蟲文一訳の『原子』です。

気体分子運動論やブラウン運動統計力学や物性論、量子力学から光学に至るまで様々な分野の一般書・専門書で参考文献として挙げられていながら、長く品切れ状態が続いている稀少本なのです。

早速抜き出して手に取ってみると経年ヤケはあるもののかなり良好な状態、価格もほぼ相場に準じた妥当なものとなっています。これはもうここで入手しておくのが「縁」というものでしょう・・・と買い求めておく事にしました。

全体に茶色味を帯びて風格を増した本体と青い帯が、カバー代わりに掛けられた半透明の薄紙を通して透かし見える風情は古い時代の文庫本に特有のもの。何とも雰囲気のある古書との出逢いでした。