蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

物性Ⅱ

先月半ば過ぎに取り掛かってから凡そ1ヶ月足らず、お馴染み“岩波講座現代物理学の基礎”から第8巻『物性Ⅱ―素励起の物理』を読了しました。

「ところで素励起って何?」という素朴なレベルからの出発でしたが、本書冒頭に置かれた「序」の一部と第1章の初っ端(ぱな)で「これでもか!」という位明確に定義付けが為されるので、各論の森の中にあっても道を見失うという事がありません。

また物性論においては一般的に使用される“ブリルアン域”や“ブロッホの定理”といった概念が本編の早い時期から登場して来るので、これらのコンセプトにじっくりと向き合うにはもってこいの一冊となっていました。

構成的には大きく第Ⅰ部“素励起の種族”と第Ⅱ部“素励起の相互作用”という二つのパートに分かれており、その章立ての概要は以下の様なものでした。

まず第Ⅰ部は第1章が「結晶とフォノン」、第2章が「分極波と誘電分散」で第3章の「Fermi液体」を経て、第4章「相転移と素励起」まで。続く第Ⅱ部は第5章の「線型相互作用と連成波」から第6章の「くりこみとダンピング」を挟んで第7章が「素励起の相互作用とスペクトル形状論」という流れ。

特に第Ⅰ部の第4章と第Ⅱ部の第6・7章はとても難しくて面白い読み応え充分のセクションで、今もそこかしこのページには「?」マークの付いた付箋が何枚も張りっ放しになったまま。

先ずはこれら「?付き付箋」の内容をざっと整理しておいてから、次はいよいよ当該講座最後の1冊となった第6巻『統計物理学』に取り掛かる予定です。

物性 II――素励起の物理 (新装版 現代物理学の基礎 第7巻)

物性 II――素励起の物理 (新装版 現代物理学の基礎 第7巻)