マクロとミクロ
岩波講座“現代物理学の基礎”第12巻『宇宙物理学』を読了しました。確か先月の初め頃に読み始めたと思うので、ちょうど1ヶ月余りをかけて読み上げた事になります。
無論内容はかなり高度で読み応えは充分過ぎる程でしたが、先に読んだ同講座の第10巻『原子核論』に比べると力学・熱力学・光学・相対論等古典物理学からの応用点が割合に明確だった為か、比較的抵抗無く読み進められた様に思います。
全体の印象を大きく分けるとすれば、マクロティックで定性的で読み易かったのは第1部「序論」第2部「星の進化」及び第3部「宇宙論」まで、ミクロティックで定量的で難しく感じたのは第4部「宇宙線」並びに第5部「元素の起源」、といったところでしょうか。
同講座第2巻『古典物理学Ⅱ』の中で湯川秀樹氏が、「時間・空間という入れものと、素粒子というなかみが、巨視的な世界とは違った仕方で相互に規定し合っているという可能性は、今後大いに検討されるべきではないかと思う」と述べられたその世界の一端に少しだけ触れる事が出来たのが、何よりの収穫だったのではないかと考えています。