帰還間近
4月22日付朝日新聞朝刊の片隅に、小さな記事が載っていました。
“はやぶさ6月13日帰還”
地球への帰還を目指している小惑星探査機「はやぶさ」について、宇宙航空研究開発機構は21日、豪州・ウーメラ砂漠の着陸予定地点へ向け、6月13日午後11時ごろ大気圏に再突入させると発表した。はやぶさは今後、4回の軌道修正を重ねながら地球に近づく。小惑星「イトカワ」の砂が入っている可能性があるカプセルを再突入の3時間前に分離し、はやぶさ自体は大気圏で燃え尽きる予定だ。
こんなにも多くの人から見守られ、状態を心配され動向を気に掛けられ、マニアと呼ばれる程の愛好家まで生み出している惑星探査機が、他にあるでしょうか。
文字通り幾多の「艱難辛苦(かんなんしんく)」を乗り越えての、本当に本当にようやくの帰還。しかしながらその勇姿を私達はこの地上で実際に目にする事は出来ません。
このどうにも人の心を惹きつけて止まない探査機にまつわるドキュメントは、『虚数の情緒』(東海大学出版会)などで知られている吉田武氏2006年の著作『はやぶさ』(幻冬社新書)で読む事が出来ます。
切り取っておいた上記記事を読み返すたびにどうしても涙ぐんでしまうのは、多分この本の愛情溢れる「結語」を思い出してしまうからだと思うのですけれども・・・。