蒼風閑語

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キング牧師とマルコムX

かれこれ3ヶ月程も前のこと、近くの古書店で買い求めた上坂昇氏1994年の著作、『キング牧師とマルコムX』(講談社現代新書)を読了しました。

アメリカの公民権運動における穏健派と過激派の両翼として対照的に語られる事の多い二人ですが、実際にその思想と活動内容にどんな相違点と共通点があったのかについては、やや意外に思えるくらい一般的には知られていません。

本書ではまず第1章で「キング牧師の思想」を、第2章で「マルコムXの思想」について個別に解説し、続く第3章において「キングとマルコムはどう違うか」の解明を試みます。そして最後の第4章「現代に生きるキングとマルコム」では、執筆時点での両氏に対する一般的な評価を記して一旦の“まとめ”としています。

キングとマルコムのどちらか一方に、もしくは被差別民としての黒人に過剰に肩入れする事無く、終始公正中立の立場を意識した客観的かつ冷静な視点でアメリカ社会の問題点の一つを切り取っており、非常に明快で読み易い一冊となっていました。

キングとマルコム両氏の著作・自伝や数々の評伝などを読む際には、本書及び巻末に挙げられた参考文献が大いに役立つのではないかと思います。

キング牧師とマルコムX (講談社現代新書)

キング牧師とマルコムX (講談社現代新書)