蒼風閑語

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確率過程

古典的名著とも言われる『確率論の基礎』(岩波書店)に続いて取り掛かっていた、伊藤清氏の『確率過程』(岩波書店)を読了しました。

1957年に刊行された“岩波講座現代応用数学”の中から、単行本化に当たって当時2分冊で配布されていたのを一巻に合本し直したものです。

『確率論の基礎』からの繋がりも良くとても読み進め易い感じだったのですが、巻頭の「序」によるとむしろ御自身が1953年に記された大著『確率論』(岩波書店)の一部を更にグレードアップさせたものの様です。

構成はまず第1章「基礎概念」で測度論的確率論とは何ぞやという大前提を確認しておいて、あとは第2章「加法過程」、第3章「定常過程」、第4章「マルコフ過程」、第5章「拡散」と一息に論じ上げます。

特に第5章については同じく「序」の中に、“1次拡散過程については、William Feller によって当時発見されたばかりの局所構造と境界点の分類に関して本格的な確率解析的記述を試みた最初のものと自負している”とあった通り、筆致にも有無を言わせない「勢い」の様なものが感じられました。

個人的にはやはり第3章と第4章辺りが、物理学との関連度も高くて面白く読み進められた様な気がしています。

確率過程

確率過程