蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

宇宙論がわかる

ちょうど1ヶ月程前にとある古書店の均一棚で見つけて買い求めた、黒星瑩一(くろぼし・えいいち)氏1991年の著作『宇宙論がわかる』(講談社現代新書)を読了しました。

「夜はなぜ暗いのか」という一見素朴な疑問の提示から有名な“オルバースのパラドックス”を紹介し、これを本編に先駆けてのイントロダクションとした「プロローグ」の章から、読者を一息に宇宙論の世界へと引き込んで行きます。

続いて第1章「膨張宇宙の原理」、第2章「相対性理論の描く時空間」、第3章「初期宇宙の様子」、第4章「量子力学と宇宙のゆらぎ」、そして第5章「宇宙の終わり」へと、宇宙論の基本的な部分が丹念に噛み砕いた口調で語られます。

著者は巻末の「おわりに」の中で、“宇宙論はイマジナティブな心で立ち向かうべき学問分野である”と述べ、その理由を“しょせん、宇宙の始めや宇宙の果てに行くことはできないわけで、この地球から得られるわずかなデータから、心の中に宇宙像を作り上げなければならないからである”としています。

宇宙論が科学と哲学と宗教の間で絶えず論争の的となって来た歴史的経緯などを考えると、上記の様な考え方をアタマの隅にキチンと置いておく事が、この分野について包括的な理解をして行く上で欠かせない姿勢となるのでしょう。

それにしても、考えても考えても尽きせぬ謎に満ちた、本当に深くて面白いテーマだと思います。物理的・数学的にもシッカリと書かれたテキストに目を通してみたくなりました。

宇宙論がわかる (講談社現代新書)

宇宙論がわかる (講談社現代新書)