蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

ランドフスカ音楽論集

2ヶ月ほど前に神保町の古書店で買い求めた、ドニーズ・レストウ編/鍋島元子・大島かおり両氏の共訳による『ランドフスカ音楽論集』(みすず書房)を読了しました。

本書の記載するところによればワンダ女史が生まれたのは1879年の7月5日との事ですから、思いがけずも期せずして彼女の誕生日に読み終えられた・・・ということになります。

それにしてもこんなにもユックリジックリ丁寧に、一言一句に至るまで見落とさない様気を配りながら読み進めた1冊も久しぶりでした。

A5判サイズで500ページ弱という結構なボリュームだったこともあって読了までにそれなりの時間を要しましたが、読中は決して比喩でなく“時間が経つのを忘れてしまう”程に熱中していた気がします。

本書で採り上げられている音楽はルネサンス期のものから現代音楽まで多岐に渡っており記された時期についてもバラバラなのですが、散漫な印象など微塵も感じさせずまるで短い期間に一息に書かれたものの様でした。

もしも本書について「読みどころは?」と問われれば「全てです!」という以外に応(いら)えが思い付かない位に面白く、また含蓄のある言葉や心に留め置くべきコメントに溢れています。

この様な名著を刊行しておいて下さった出版社と翻訳者にはただただ感謝。ワンダの音楽と併せて末長く付き合う事になりそうな“真に貴重な1冊”との出逢いです。