蒼風閑語

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新オーディオ鑑賞術

たくきよしみつ氏2009年の著作『大人のための新オーディオ鑑賞術』(講談社ブルーバックス)を読了しました。

サブタイトルに「デジタルとアナログを両立させた新発想」とある通り、一口に言ってしまうと“PCでデジタル・ファイル化した音源をアナログ機器で再生してみましょう”というのが主たるコンセプトとなっている一冊です。

著者御自身によるプロ・ミュージシャンとしてのレコーディング経験を背景として語られる録音機器の変遷やヘッドフォンについてのウンチクには説得力があり、思わず「なるほど!」と膝を叩きたくなる記述がしばしばでした。

そしてたくき氏の語り口の特徴とも言える、“カタログ・スペックはどうあれ実際の使用感はこうで使い勝手はこんな感じだった”という「消費者目線」と、“でも世の中の趨勢はこんな風だから今選ぶならこういった選択がいいんじゃないか”という「識者目線」との絶妙なバランス感覚。

このバランスに対する匙(さじ)加減が実に巧みなせいか、オーディオ指南の本にありがちなある種の“押し付けがましさ”みたいなものが全く感じられないのも嬉しいところでしょうか。

へぇ~へぇ~と頷(うなず)く内に知らず知らず有用な情報を得る事が出来る、一般向け新書としてほぼ過不足の無い“得難い一冊”ではないかと思います。

大人のための新オーディオ鑑賞術―デジタルとアナログを両立させた新発想 (ブルーバックス)

大人のための新オーディオ鑑賞術―デジタルとアナログを両立させた新発想 (ブルーバックス)