蒼風閑語

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宇宙創生はじめの三分間

暫く前にネット古書店で購入していたスティーヴン・ワインバーグ氏の著作『宇宙創生はじめの三分間』(ダイヤモンド社)を読了しました。

原題を "The First Three Minutes" というこの小冊は、小尾信彌氏の訳によって1977年に初版が発行された後、’82年に著者自身が書き加えた「追補」を追加収録した形で’95年に“新版”として刊行されたものなのだそうです。

加えてこの新版には「解題」として佐藤文隆氏による詳細な解説文が新たに書き下ろされており、’95年当時における宇宙論の最新事情がかなり細かく捕捉されているという手厚いバックアップぶり。

巻末にタップリと紙幅を取った「付録」やら「注記」やらが添えられているのもワインバーグ氏による一般向け書籍ならではのもの。同氏の『究極理論への夢―自然界の最終法則を求めて』(ダイヤモンド社)にも50ページ近くに及ぶ膨大な「注」が付けられていたのを思い出します。

内容について一言申し添えれば、本書が執筆された当時の素粒子論と宇宙論の知見に基づいて語られる宇宙創生直後のドキュメントは、とにかく「スリリング」の一言。平明な記述とこなれた訳文も手伝ってか、まるでSF小説でも読む様な心持ちで一気に読み上げてしまいました。

残念ながらこの日本語版は現在入手し難い状態となっている様なのですが、『究極理論への夢』共々出来るだけ早い時期の復刊を望みたいものです。

宇宙創世はじめの3分間 (ちくま学芸文庫)

宇宙創世はじめの3分間 (ちくま学芸文庫)

 
The First Three Minutes: A Modern View Of The Origin Of The Universe

The First Three Minutes: A Modern View Of The Origin Of The Universe