蒼風閑語

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物理数学の方法

函数の理論を確立した功績によってフィールズ賞を受賞した事でも知られている、ローラン・シュワルツ著/吉田耕作・渡辺二郎共訳『物理数学の方法』(岩波書店)を読了しました。

2年程前に古書店で見つけて購入したものの、最初の50ページ程に目を通したきりで何となく放り出したままにしていたのですが、先月ふと手に取って読み始めてみると面白くて、とうとう最後まで読み上げてしまったのです。

全体の構成は、第1章「積分学への捕捉:級数積分」、第2章「超函数の基礎」、第3章「合成積」、第4章「Fourier 級数」、第5章「Fourier 変換」、第6章「Laplace 変換」、第7章「波動方程式と熱方程式」、第8章「Euler 函数」、第9章「Bessel 函数」という流れ。

巻末の「訳者あとがき」に、「超函数の創始者である Schwartz 自身によって著わされた本書は、 (中略) “超函数およびその数理物理への応用”について非常に優れた入門書である」とある通り、第一人者ならではの懇切な語り口が特徴的でした。

実際に読み進めていて「数学的な難所だな」と感じたのは第2章と第3章で、そこを乗り越えれば後の章は実に物理数学然とした記述になって、そうなると最後までとても面白く読み進む事が出来る・・・という作りになっていた様な気がします。

そうそう、ちょうど山登りをしているイメージでしょうか。第3章の終わりが頂上で後は下って行く感じ・・・と言えば近いかも知れません。

物理数学の方法

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