蒼風閑語

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センス・オブ・プログラミング

1年程前にネット古書店で買い求めていた、前橋和弥氏2004年の著作『センス・オブ・プログラミング!』(技術評論社)を読了しました。

前橋氏は冒頭の「第0章」で本書の要諦とするところを

 “それなりの規模のプログラムをきちんと動かすためには、プログラミング言語の文法の詳細などではない、別の技術―言うなれば「センス」が必要だ”

として、そのセンスは「抽象的なレベルで考えること」と「データ構造の重要性を認識すること」によって涵養される、と定義しています。

では実際にそれらを会得するにはどうすれば良いのか・・・という問いかけに対し、著者御自身の体験や他の書籍から得た知識を元にして判りやすく解き明かしたのが本書であると言えます。

全体の構成は第1章「プログラムの基礎」、第2章「プログラムが動作する仕組み」、第3章「きれいなプログラムを書くために」、第4章「データ構造 ― 基礎編」、第5章「モジュール分割」、第6章「データ構造 ― 応用編」、第7章「X-Word ― ワープロのプログラムを作る」という流れ。

本書の骨子となるのが第3章以降であるのは言うまでもありませんが、“プログラミングとは何か”や“プログラムはなぜ動くのか”などといった問題を簡単に解説した第1章・第2章も秀逸な出来栄えです。

特に第2章の第1節「デジタル回路」における記述は、コンピュータというものの動作原理をコンパクトにかつ直観的に理解する事が出来るという点で特筆に値するのではないかと。

その内容からも“読むタイミング”を選ぶべき本ではあるのですが、適切な時期に出逢うことさえ出来れば実に有用な一冊になるのではないかと思います。

センス・オブ・プログラミング! 抽象的に考えること・データ構造を理解すること

センス・オブ・プログラミング! 抽象的に考えること・データ構造を理解すること